サイバー攻撃の被害報告様式案とは?特別社会基盤事業者に関係するパブリックコメントを解説

30秒でわかる要点

  • 内閣府など8府省は、特別社会基盤事業者による特定侵害事象等の報告に使う様式案と、サイバー攻撃被害時の報告手続に関する申合せの一部改正案について意見を募集しています。
  • 案では、DDoS攻撃事案、ランサムウェア事案、それ以外の事象に分けて、3種類の共通様式を使う構成が示されています。
  • 意見募集期間は2026年7月13日から2026年8月17日午前0時までです。提出はe-Govの意見提出フォーム、郵送、一定の場合のメールで受け付けるとされています。
  • これは意見募集段階の案です。告示案では、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行日である2026年10月1日からの施行が示されていますが、最終的な内容や施行は今後の決定によります。

背景:どんな案件か

今回の案件は、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律に基づき、特別社会基盤事業者が特定侵害事象等を報告する際の様式を定める告示案と、「サイバー攻撃による被害が発生した場合の報告手続等に関する申合せ」の一部改正案を対象としています。案件の所管は、内閣府政策統括官(サイバー安全保障担当)付です。

公式の案件ページはe-Govパブリック・コメント案件ページで確認できます。資料には、今回の検討理由として、サイバー攻撃の被害報告について、報告先となる官公署が多く、被害組織の報告負担が大きいとの指摘が記載されています。また、DDoS攻撃事案やランサムウェア事案は、インシデント発生時からサイバー攻撃であることが明白な場合が多く、初動対応中の報告となることなどから、報告負担が極めて大きいと考えられると説明されています。

今回の変更案

1. 事象の区分に応じて3種類の様式を定める

告示案では、主務省令第4条第2項に基づく様式を、次の3区分に対応させる構成が示されています。

事象の区分 使用する様式案
DDoS攻撃事案に該当する事象 関係省庁申合せ別添様式1
ランサムウェア事案に該当する事象 関係省庁申合せ別添様式2
上記以外の事象 関係省庁申合せ別添様式3

この区分と対応関係は、告示案および参考資料・概要(告示案)に記載されています。

2. 共通様式による報告を可能にする

申合せ案では、DDoS攻撃事案、ランサムウェア事案、それ以外のサイバー攻撃等事案について、共通様式を用い、または別途法令等で定める様式に添付する形で、官公署への報告等を行えるようにする案が示されています。対象として、一般に「サイバー対処能力強化法」と呼ばれる重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律第5条による特定侵害事象等の報告等、個人情報の保護に関する法律第26条第1項による個人データの漏えい等に係る報告等、都道府県警察への相談などが挙げられています。

ただし、具体的な提出先、提出方法、追加的な報告事項については、各法令、ガイドライン、各省庁が公表する方法に従うとされています。したがって、共通様式を使える案が示されていても、すべての手続で提出先や方法が同一になるとまでは、今回の資料から確認できません。

3. 情報共有に関する記載を設ける

別添様式案には、様式に記載した内容が、報告先機関から内閣官房国家サイバー統括室に共有される旨が記載されています。同統括室は、報告内容を整理・分析し、被害者が分からないようにした上で、被害拡大防止のための注意喚起などに活用することがあるとされています。

一方、様式には、共有等を希望しない場合の記載欄もあります。ただし、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律第5条に基づく報告では、共有等を希望しない場合でも、同法に基づき内閣官房国家サイバー統括室等に情報提供されることがあると注記されています。重要インフラ事業者等についても、行動計画に基づき共有されることがあるとの注記があります。個別の情報共有範囲や運用の詳細は、公式資料で要確認です。

4. 適用開始時期に関する案

申合せ案と告示案には、異なる日付が出てきます。関係を次のように整理できます。

2025年10月1日は今回のパブリックコメントの開始日や告示案の施行日ではありません。申合せ案に記載された、既存の様式1・2の適用開始日です。

日付 資料上の位置づけ
2025年10月1日 申合せ案に記載された別添様式1・2の適用開始日
2026年10月1日 別添様式3の適用開始日。今回の告示案の施行日でもあり、法律の施行日です

つまり、今回の告示案・様式3に関する日付は2026年10月1日です。2025年10月1日は既存様式に関する過去の日付であり、最終的な適用関係は公式資料で確認してください。

ただし、今回の資料に含まれる改正案は2026年の案であり、告示案の附則では、告示の施行日を法律の施行の日である2026年10月1日としています。申合せ案に記載された過去の適用開始時期との関係や、今回の改正後の各様式の適用時期については、掲載された資料だけでは整理しきれないため、公式資料で要確認です。案の段階であり、最終的な日付や内容が確定したことを意味しません。

影響を受ける人・組織

主な関係者は、次のとおりです。

  • 重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律に基づく特別社会基盤事業者。告示案は、こうした事業者による特定侵害事象等の報告に用いる様式を対象としています。
  • DDoS攻撃、ランサムウェア、その他のサイバー攻撃等の被害を受け、官公署への報告や警察への相談を行う組織。申合せ案では、対象となる手続について共通様式を利用できる案が示されています。
  • サイバー攻撃被害の報告を受ける関係省庁などの官公署。被害組織の同意がある場合、報告内容を内閣官房国家サイバー統括室へ共有する仕組みが記載されています。

個人の利用者や一般の事業者に対して、今回の案によって直ちに新たな義務が生じるかどうかは、掲載された資料だけでは確認できません。該当性や具体的な義務は、各法令、指定状況、所管省庁の案内を公式資料で要確認です。

用語解説

特別社会基盤事業者

今回の告示案が対象とする、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律に関係する事業者です。掲載資料では、対象事業者の具体的な範囲までは示されていないため、該当性は公式資料で要確認です。

一般には、社会インフラを担う事業者のうち、法律で指定され、重要な情報システムの管理やサイバー被害の報告に関わる事業者を指します。自社が該当するかは、法律と公式資料で確認してください。

特定侵害事象等

告示案の題名に含まれる報告対象の事象です。今回の資料では、DDoS攻撃事案、ランサムウェア事案、それ以外の事象に対応する様式が示されています。

共通様式

複数の報告等に際して利用できるようにする案の様式です。ただし、実際の提出先や提出方法、追加報告事項は各法令・ガイドライン・各省庁の方法に従うとされています。

意見を提出する前の確認点

意見は、今回の募集対象である告示案または申合せの一部改正案に即して記載することが重要です。たとえば、3種類の様式の区分が明確か、報告時点で把握している範囲を記載する設計が実務に合うか、続報で変更箇所を把握できるか、情報共有に関する説明や選択欄が分かりやすいか、といった資料上の論点を確認できます。

提出時は、意見募集要項に従い、日本語で記載してください。e-Govの意見提出フォームでは案内に従って入力し、半角カナ、丸文字、特殊文字は使用しないよう求められています。郵送の場合は、指定の意見提出用紙に必要事項を記載し、宛先と封書表面の記載を確認してください。メール提出は、フォームや郵送での提出が困難な場合に可能とされ、添付ファイルは開くことができないため、意見をメール本文に直接記載する必要があります。詳細は意見募集要項で確認してください。

なお、意見募集対象以外の意見には個別回答をしないこと、提出意見は氏名やメールアドレスなどの個人情報を除いて公開される可能性があることも、要項に記載されています。個人や法人の財産権等を害するおそれがあると判断された記述は、公表時に伏せられることがあります。

FAQ

Q1. この案は、すでに確定した制度ですか?

いいえ。意見募集の対象となっている案です。告示案には施行日が示されていますが、募集後の最終決定を経た確定法令・確定様式ではありません。

Q2. どの様式を使う案ですか?

告示案では、DDoS攻撃事案は別添様式1、ランサムウェア事案は別添様式2、それ以外の事象は別添様式3とする構成です。具体的な提出先や提出方法は、各法令、ガイドライン、各省庁の公表方法に従うとされています。

Q3. 意見提出の締切はいつですか?

政府の意見募集期間は、2026年8月17日午前0時までです。郵送とメールは期間内必着とされています。パブコメ.comの運用締切は2026年8月16日23時59分です。両方の締切は約1時間の差しかないため、提出はサイト締切直前にせず、政府・パブコメ.com双方の締切より十分前に行ってください。

Q4. 共有を希望しないと書けば、情報共有は止まりますか?

必ず止まるとはいえません。様式案には共有等を希望しない場合の欄がありますが、法律第5条に基づく報告などでは、希望しない場合でも情報提供されることがあるとの注記があります。具体的な取扱いは公式資料で要確認です。

Mermaidで見る案の構造

意見募集の基本情報

確認項目 内容
政府の意見募集期間 2026年7月13日午前0時から2026年8月17日午前0時まで。郵送・メールは期間内必着
パブコメ.com運用締切 2026年8月16日23時59分
提出方法 e-Gov意見提出フォーム、郵送。これらが困難な場合はメールも可と要項に記載
所管 内閣府政策統括官(サイバー安全保障担当)付
根拠法令 重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律に基づく命令第4条第2項。申合せ案は同法第5条の報告等に言及
公式URL 案件ページ意見募集要項
資料確認 公式資料を確認し、記載のない点は追加確認が必要

関連情報は、この案件の詳細案件一覧新着通知から確認できます。最新の提出条件や案の確定状況は、必ずe-Govの公式資料を確認してください。